ドロノキ

学校に子どもの声が響いていた頃から、この木はシンボルツリーだったのだろう。
でも、何でドロノキ(ドロヤナギ)? 花はどれ?というくらい見えないし、黄葉だってきれいじゃない。枝はぐにゃぐにゃ気持ち悪いし、枯れ木はくすぶってばかりで気分良く燃えてくれない。そのくせやっと燃え始めたと思ったら、あっという間に燃え尽きる。
初めは欠点ばかりが目に付いた。

ドロノキの周りは四角く草が生い茂っていた。ここらで「牧草」と呼ぶ、たぶんチモシー(オオアワガエリ)。
園芸家ならここに花を植えたいだろうな。でも、チモシーの大株がびっしり、人力じゃとても立ち打ちできない。かといって、トラクターで起こすには木の根が邪魔になる。そんな理由からだと思うけど、前の人はここに手をつけず、草が伸びたら刈るを繰り返していたようだ。そこまでしなくても、起こしやすい場所はなんぼでもあるからね。

ここに小球根を植えよう。迷わず思った。雪解け直後はチモシーの地上部も枯れてぺちゃんこ、雪が解けたら春一番に咲く花を。一回目の草刈りをするのは6月、それまでの間が勝負だ。クロッカス、チオノドクサ、プシキニア、旧宅から持ってきたのや、頂いた球根を仕込んだ。すぐに成果は出ないけれど、カタクリエゾエンゴサクの種も蒔いた。ばらばらっと、まさにばら蒔き。種はいくらでも入手できる。

今年の春は、球根の一部が咲くだろう。広すぎて全然目立たない気もするけれど、5年10年経つうちにきっと増えてくれるだろう。年を取ったら1年があっという間、今は、はるか先に思えることも、過ぎてしまえば短い年月になるのだろう。それまで球根と種を蒔き続けるのだ。

冬はなかなかいい。左は雪で折れた枝。ある朝起きたら雪に刺さっていた。